PHAPHICのデニムプロダクト「SIGNITURE」の縫製をいただいているのが、デニムと同じく備後産地・広島県福山市でワーキングウェアの縫製を得意とする株式会社C2さん。創業48年の歴をもちながら、「産地には100年企業もある。うちはまだまだです!」と笑うのはPHAPHICご担当の広報・企画営業部長、児玉さん。その確かな技術のルーツについて、お話を伺いました。
ーーー 初めてサンプルを作っていただいた時、その仕上がりの美しさに心を射抜かれました。
全国の産地にすごく詳しいお客様にも、「めちゃくちゃきれいですね!」「こんなに丁寧に対応していただけるんですね!」と驚いていただいて。実際に作ってくれているのは自分じゃないですが、めちゃくちゃ嬉しいですね。
ーーー この産地で縫製技術が磨かれてきた背景について、お聞かせください。
福山城の城主が綿花栽培を奨めたことから、綿織物が発展してきました。そこで生まれた備後絣は、すごく価値の高いものとされたそうです。備後絣を1m持っていくと物々交換で他産地の生地が10m返ってくる、といったことで縫製の技術が高まってきたようです。
また瀬戸内で造船業が栄んなことから、戦時中には軍服の需要があったそう。時代に応じて備後絣、軍服、企業の制服やジーンズ、と縫製するものが変わってきたというのが、この産地です。
ーーー ワーキングウェアという特性上、決まった形のないようなオーダーも多いのでしょうか。
PHAPHICさんは作りたいものが明確でしたが、そうでないお客様が大多数。お客様のニーズを汲み取って生地も形も提案し、0から形にしていくのが僕の仕事。常にお客様と一緒になって伴走している、という感じ。そうやってできたものでお客様に喜んでもらえるのがやっぱり1番嬉しいですね。
ーーー 生地をカットする際になるべく生地にロスが出ないよう緻密に計算して考えてくださったことも、とても助かりました。
カットした後の細かいハギレも廃棄せず、製紙工場さんで紙にリサイクルしてもらってます。繊維産業は水もたくさん使うしゴミもたくさん出る。汚染産業と言われていますからね。デニムを回収してアップサイクルするプロジェクトにも取り組んでいます。
ーーー 取材日のちょうど前日、同業者の方々で播州で産地間交流をされてきたとのことでした。デニムの縫製技術を伝える取り組みなどを含め、すごく「開かれている」なと感じています。
そうですね。1社で成長していこう、じゃなくてみんなで盛り上がってみんなで成長していきたい。産地が盛り上がることで産地の外の人にも、若い世代にも、「なんかこの産地はおもしろそうなことやってるな」と興味をもってもらいたいなと。
ーーー 10年、20年後に産地として、ご自身としてどうあっていたいか、展望をお聞かせください。
若い人が育たないと、会社としても産地としてもダメだと思っています。若い世代には何でも口出しするのではなく好きにやっていいよ、というスタンス。将来的には産地を盛り上げてくれる若い世代に次のバトンを渡して引退していくのが僕の使命ですね。
写真:yukihiro yoshikawa
聞き手:studio Phaphic