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羽毛の現在地|河田フェザー(三重県明和町)

PHAPHICのクッション中材に使われているのは日本製のフェザーとダウン。別注製作いただいている河田フェザーさんは羽毛商から始まり、現在はアパレル・寝具向けの羽毛を主に扱う、創業130年・日本唯一の羽毛専業メーカーです。羽毛界のパイオニアとも言える河田フェザーさんが、一貫して拘っているのが「清潔・キレイな羽毛」を届けるということ。羽毛精製に適した水と気候を求めて名古屋から移設したという三重県・明和町の工場にて、業界水準をはるかに超える徹底した洗浄の過程を、営業・藤井さんにご案内いただきました。

羽毛原料の原産地はフランス、ポーランド、また⼀部⽇本のものなどさまざま。提携した信頼できる産元から買い付けた羽毛たちがひとところに集まる保管場所には、動物ならではの匂いが漂います。
ちなみに羽毛はすべて食用の水鳥から産出された天然の副産物。⽣きたままの⿃から⾮⼈道的にむしり取るような⾏為は、世界的にも禁⽌されており、同社でもそういった⽻⽑は取り扱っていないとのこと。

羽毛原料はホコリや付着物を取る除塵(じょじん)、汚れやアカを研ぎ落とす洗浄、ふんわりとさせる乾燥の工程を経たのち、さらに目に見えないアカやホコリを取り除くためにもう一度除塵する工程へと移ります。上の写真は、洗浄・乾燥を終えたものの、同社の厳しい基準では商品とならないもの。この工程はすべて羽毛の原産地ごとに分けて行われ、他産地の羽毛が混入しないよう、機械はすべて都度清掃されます。

雪が舞うような美しい光景は、洗浄・乾燥した羽毛をダウンとフェザーに選別する工程。藤井さんが「この工場見学の1番の見どころです」と仰る通り、最⼤のもので⾼さ8.4mのガラス張りの部屋のなかを羽毛がふわふわと漂うさまは、時を忘れてずっと見ていたくなるほど。世界最大級というこの選別機によって、高品質の羽毛を選別するとともに雑物や匂いの原因となる毛根をさらに取り除きます。

河田フェザーさんが新毛(しんもう)の精製と同時に力を入れているのが、羽毛のリサイクル。回収した羽毛布団を1つずつ検品、同社の技術で再度徹底的に洗浄後、グリーンダウン製品として再度命を吹き込まれます。同社の厳しい基準により、リサイクルダウンは新毛の3倍と、圧倒的にクリーンな状態に。羽毛は適正に扱うと100年使えるエコな資源だそうです。


——— PHAPHICで採用しているクッションはフェザー90%、ダウン10%。フェザーとダウンの違いや特性について改めて教えてください。

ダウンは軽量で保温性が高いことが特徴で、ダウンジャケット等のアウターには最適な素材です。水鳥の胸に生えているもので1羽から少量しか摂れず、1枚のダウンジャケットを作るのに約10羽の水鳥が必要と言われています。フェザーはダウンより硬さ、弾力があることが特徴。クッションはへたりにくさと柔らかさのバランスを考慮し、フェザー90%、ダウン10%を最適なバランスとして製作しています。


——— 藤井さんご自身が製品について誇らしく感じられている点について教えてください。

1点目は、やはり他社では真似できない品質です。アウター用のダウンを採用いただいたアパレルブランドさんに河⽥さんの⽻⽑は他社に⽐べ膨らみが良いので、⽻⽑量が少なくてもしっかり膨らみ暖かい、と言われたり。2点目は、羽毛そのものだけでなく、その先にあたたかく過ごせる、よく眠れる、等の身を持って感じられる価値があること。3点目は、羽毛自体が天然の産物であり、100年先も使えるものであること。個人的にはリサイクルダウンは次世代の羽毛としてスタンダードになっていくのでは、と思っています。

現在アパレルブランドさんとも一緒に取り組んでいるところですが、羽毛布団やダウンジャケットが回収・リサイクルできることをもっと多くの方に伝えていきたいですね。

   

写真/聞き手:studio Phaphic
河田フェザー株式会社 https://kwd.jp/


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