PHAPHICのものづくりにおける初めてのパートーナーとなっていただいたのが、播州織の産地、兵庫県西脇市で表情のあるジャカード織を得意とする大城戸織布(おおきどしょくふ)さん。初めての訪問日にショールームや織場の見学、デザインの再現についてお打合せをさせていただき、夢中になって気付けばあっという間に5時間経過。アウトプットだけでなく、お会いした職人お二人の人柄やものづくりに対する姿勢にも強く惹かれ、その日の帰りにはオーダーを心に決めていました。
織なのか、刺繍なのか、はたまたニットなのか、一見するとわからない。大城戸織布さんが手がける生地は2つと同じものはなく、まるで糸と色が自由に飛び交っているよう。PHAPHICのほか数多くのブランドの織を手掛けられている職人、穐原(あきはら)さんに話を伺いました。
ーーー 大城戸織布さんで12年目とのこと。今の仕事に就かれたきっかけを教えてください。
実家が播州で機屋を営んでいました。大学卒業後、地元を離れ企業に就職しましたが今ひとつやりがいを感じきれずにいた頃、大阪の展示会で代表である大城戸さんに出会いました。改めてものづくりの面白さに触れ、Uターンして播州に戻り、織職人として弟子入りすることを決意しました。
ーーー 2つと同じもののない様々なデザインオーダーに、職人としてどう向き合っているのか教えてください。
「デザイナーが求める以上のものをつくる」ということを常に自分に課しています。リピートで「前回と同じものを」と注文いただくことも多いのですが、そのなかでも毎回新しい提案をし続け、前回を超えるものを出せるよう心掛けています。結果そのままでいいよ、と言われることもありますが(笑)。原料のコストがどんどん上がっていくなかで、お客様(デザイナー)にも値上げをお願いせざるを得ない。その中でも、コストに見合ったものができるよう、1つ1つ停滞せず改善するようにしています。そういった意味で、一見のお客様ももちろんなのですが、リピートのオーダーの方が緊張したりします。
ーーー 播州産地の次世代の担い手として、今後どうあっていきたいか、展望をお聞かせください。
「お客様が飛躍していくような布つくる」というのが常にある目標です。職人として12年目、同時期にスタートしたブランドがどんどん認知され、オーダーの数量も増えつつあるのが嬉しく思っています。まずは何よりもデザイナーに「好き」と思ってもらえるものを。デザイナー自身が気に入ったものは伝え方にも熱量がこもり、エンドユーザーとなる方にも伝わると実感しています。
2025年はパリ・プルミエールビジョンへ視察にいく予定です。いつかは大城戸織布として出展するなど、テキスタイルを海外で見ていただく機会をつくってみたいですね。
写真:yukihiro yoshikawa
聞き手:studio Phaphic
大城戸織布 https://okd-weaver.com/